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気が付くと、別れ道の真ん中に立っていた。
自分と同じ階にある道は2つ、それと登る階段と降りる階段とがある。
道は全部で4つ。しかし自分は下から来たのだから、残る道は3つ。
どうしたものかと登る階段を見上げれば、知った背中が登っている。
あの男だ。
わざわざ同じ道を行く必要はない。
ならば残りは2つだ。
「おーい。」
階下から呼ばれたかと思うと、自分が登ってきた階段から【 】と【 】が登ってきた。
これで行く道が決まった。
「さっき【 】が登っていくのが見えた。お前達はあっちへ行ってくれないか。俺はこっちに行く。」
「1人じゃ危険だ。」
「そのくらい分かってる。でも、手分けしたほうが早いだろ。」
そう、急がなければならないのだ。
ここには俺達とあの男と、それから俺達の後を追ってきた弟がいる。
弟は身体が弱いから、俺が1人でいるよりもずっと危険な状態だ。
「じゃ、また後でな。」
何か言いたそうな2人をそのままにして、俺は1本の道を進みだした。
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