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「恵、大丈夫?」
私は恵のくるぶしを見て聞いた。
「う、うん…。なんとか…。」
恵は打たれた右足のくるぶしを抑えながら答えた。
「出血がひどいわ。早く行きましょう。」
焦っていたのと暗かったのとでさっきまでは見えなかった女性の顔が明るくなったため見えるようになった。
その人はよくテレビで見かける、53歳の大女優・湖 ミンク【ミズウミ ミンク】さんだった。湖ミンクというのはもちろん芸名。本名は不明だ。
「ミンクさん…。」
私は目を見開いた。
「久しぶり、涙ちゃん。とりあえずこの子を運ぶから手伝って。」
ミンクさんはニコッと笑ったあと、すぐに真剣な顔になり、恵を支えながら立ち上がった。
「涙ちゃんは左側をお願い。」
私は頷くと恵の左側に回り、恵を支えた。
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