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「なんか暑くない?」
高速道路に乗ったところで運転手が私たちに聞いてきた。
季節は秋真っただ中。いくら車内だって暑いわけがない。
運転手も厚着をしているわけではない。ただ口にマスクをしているだけだ。
「い…いえ。私たちは平気ですけど…。」
恵が驚きながら答えた。
「そうかなぁ…。おじさん暑いから、冷房つけていいかな?」
運転手が申し訳なさそうに言うので私たちは断れずに頷いた。
運転手は冷房をつけて
「涼しいなぁ~。」
とわざとらしく言った。
すると私はいきなり眠気に襲われた。
恵も眠気に襲われたようだ。
そして私は気付いた。
この冷房には催眠ガスが混ざっていることに………。
「しまった……!!」
「悪いな、嬢ちゃんたち。これはうちのボスからの命令なんでね。」
運転手は眠る寸前の私たちをミラー越しに見て喉を鳴らしてクックックッと笑った。
そして私たちはゆっくりと目を閉じた。
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