亜稀

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2-8 亜稀と飲みに行った日の翌日。 オレも亜稀も通常通り出勤。 流されてだとは言え、やってしまったせいか亜稀の事が気になって仕方がない。 て言うか、男と‥って… よく考えたら、凄い事しちまったんじゃね?! しかもオレ、抱かれた側… うわー…ハズ… でも全く抵抗は無かった。 酒入ってたから… 亜稀だったから… かな…? この日も亜稀は何時もの様に広いフロアを忙しなく動き回っていた。 亜稀の客が相当増えてしまい、他のホストの客が回しにくくなってしまった事から、うちもそろそろ二部営業をしようかという話が最近出始めた。 亜稀は客数も半端ないけど、太客がかなり多い。 店側としては亜稀の客を優遇したい所。 経営的にも、二部営業はいい手かもなぁ… オレも接客中だというのに、なんだか無意識に亜稀の姿を目で追ってしまっていた。 亜稀って、誰とでも楽しそうに笑える奴だよな… 仲間内に見せる笑顔と全く同じ顔を、どんな客にも向ける事が出来る。 営業スマイルをする必要がない奴… たかが客に、思いっきり素の笑顔で… なんだか少しだけ腹が立った。 営業終了後、この日は特にアフターの予定も無かったので、少し店に残って店のサイトを弄っていた。 この頃、亜稀は店の掃除をしなくなった。 というより、周りがさせてくれなくなっていた。 まだ入店2ヶ月ちょっとくれぇなのに、オレ、翔、雅貴以外のホスト達は、亜稀の事を「亜稀さん」と呼んで敬語を遣う。 昨日一緒に飲みに行った時に気付いたけど、他店の下っ端ホスト達も亜稀を見掛けると「亜稀さん」と言って声を掛けてきていた。
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