亜稀

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2-9 亜稀がいい奴だって事は、他の奴等から散々聞かされてるし、そんな事は話をしていて十分過ぎるくらい理解してる。 けどなんか腹が立つ。 何に対して腹が立ってるのか解らないけど。 そんな事を考えながらパソコンの画面をボーっと見ていると、オレは突然後ろから誰かに緩く抱き締められた。 「おーい、まだ残ってたの?」 行動と同時に掛けられた声に、後ろを振り向くと亜稀がそこに立っていた。 「あれ…? お前アフター行ったんじゃ…」 「うん。 忘れ物したから取りに来たら、事務所の電気点いてたから。 一服してからまた行く」 亜稀はそう言ってオレから離れると、隣の椅子に座り煙草を取り出し火を点けた。 …なんかよく解らないけど、コイツが傍に居ると変にドキドキする… そう言えば、コイツに聞きたい事があったんだ。 「…あのさ…」 「ん?」 「昨日…なんであんな事…」 「昨日…? あー…無理矢理過ぎた? 嫌だった?」 「や‥嫌だった‥わけじゃねぇけど… オレとやってみたいとか、なんとか‥言ったのは…」 「うん? 言葉の通り。 あ、俺バイだからさ、男でも女でもどっちでもいけちゃう」 「えっ… すげーナチュラルにカミングアウトしてくれてるし… …まぁ、そーなんだろうけど… …なんか慣れてたし…」 「まぁね」 「…他の奴にも、手ぇ出しちゃってたりとか…」 「さぁ?どうだろう?」 亜稀は答えると含みのある笑顔をオレに向けた。 出してるって事か…
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