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2-11
「あっ…ぃや…
実際…嫌だったわけじゃねぇし…
…悪くなかったし…」
「‥それなら良かった…」
オレの言葉に亜稀は安心した様に言って緩く微笑んだ。
そういう顔するのはズルい…
「‥遊ぶだけ‥だよな?」
「ん?」
「や‥あの…遊ぶだけ‥なら…‥‥えっと…」
良かったらまた…
と、喉まで出掛けたけど、その一言が妙に恥ずかしくて言えない。
亜稀から視線を逸らし、少し口ごもっていると、亜稀は椅子から立ち上がりオレの傍に歩み寄った。
「遊びたくなったら飲みに誘ってくれればいいから」
亜稀はオレの顔を僅かに上げさせると、軽くキスをしてオレから離れた。
「んじゃ、俺アフター行くから。
啓吾も早めに帰れよ~?」
緩い笑顔でそう言い残し、亜稀は店を出て行った。
一人になって静かになった事務所で、五月蝿いくらい心臓の音が響いた気がした。
なんでこんなにドキドキしてんだろ…
こんな感覚、今まであったか?
どーしよう…オレ多分亜稀の事すげー好きなんだ…
でも、オレは亜稀の「マジになれる奴」じゃない。
そうじゃなくたって、亜稀の他人に対しての扱い方は優しい。
それがマジになれる奴に対してなんて、一体どれだけ…
もしも、遊んでる内に「マジになれる奴」になれたら…
遊びからマジになる事だってあるよな。
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