亜稀

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2-16 ああ、そんな事、自分が一番よく解ってる。 なんか…情けない… 「…オレ…ガキだな… 亜稀と同い年なのにさ… 亜稀の方が全然大人だし… 器のでかさじゃ到底かなわねぇ…」 「比較する対象があれじゃ無理だろ。 別格じゃん。 いい奴だよな。 面倒見良くて忠実で優しい。 明るくて目立つから、必然的に中心に立つけど、自分だけにならねぇで他を立てる事も忘れない」 「…うん…」 「その上、頭も良くてルックスもあれじゃ…」 「……でも、遊んでる…」 「ああ?それが何?」 「遊び酷いのって、結構な欠点じゃん」 「そ? まぁ、普通はそーかもだけど? あいつに関して欠点があるとしたら、計算高いクセに優し過ぎる事だと思うけどな」 「…何それ…」 「お前がどこまで解ってるか知らねぇけど… 亜稀から手ぇ出したのって、どの奴も最初の1回きりなんじゃねぇ? お前も「遊んでる」って解釈してるって事は、お前も亜稀からマジじゃないって話を聞いてるわけだろ? 他の奴等もそれを知ってる上で亜稀を気に入って誘ってるわけで… 「遊んでるから」って最初から断言してるセリフは、「俺は遊んでるだけだから、嫌になったら切ってくれていいよ。絶対に俺にマジにならない様に」って言ってる様なもんだとオレは思ってるけど? 亜稀が手ぇ出した連中なんて、店来てりゃ大概解るじゃん。 アイツは自分がどうすれば他人に気に入られるかを解ってて、手ぇ出したのは個々で必要以上に仲良くなっとく必要があったから。 その先に何があったかって言えば、ライバル店と温厚に付き合ってく事と、周りの人間関係を円滑にしてく事だろ?
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