亜稀

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2-2 4日目、先輩ホストと改めてキャッチに出たら、あっという間に女の子をつかまえて店に戻って来た。 5日目以降は亜稀の噂が口コミで広まった様で、初来店の亜稀指名客がどんどん増えていった。 その増え方は異常とも言えるレベルで、9月頭の入店から、中旬には指名数.売り上げ共にオレは完全に抜かれ、下旬には翔や雅貴と並んだ。 月が変わり、9月の売り上げが出た時には、亜稀は翔.雅貴を完全に引き離して単独首位に立っていた。 この1ヶ月、亜稀と全く絡んだ事が無かった俺は、結果が出た瞬間「アイツ絶対翔と雅貴に潰される」と考えた。 けど、現実は違った。 まだたった1ヶ月経つか経たないかなのに、何故か亜稀は翔と雅貴両方と仲良くなっていた。 しかも、あれだけ敵視丸出しだった二人も、亜稀中心に何時の間にか打ち解けてしまっていた。 翔が首位にくる様になってからの2年間って…一体なんだったんだ…? 二人の間に入って超苦労してきたオレって… 拍子抜けしてしまったのと、なんだか納得いかなかったのとで、理由が聞きたくて、オレはその日の閉店後直ぐに二人に問い掛けた。 「なぁ、なんで急にお前等仲良くなってんの?」 「は?」 「仲良く…?」 「仲良く…まぁ、そうだな。 前みてぇな感じはねぇな、気分的に」 「確かに。 なんで今まであんなに毛嫌いしてたのか、とか‥色々馬鹿らしくなってきたし?」 「馬鹿らしく? …亜稀に抜かれたのは、二人共腹立たねーの?」 「全然」 「仕方なくね?亜稀だし」 「亜稀だし、っつー意味が解らない」 「お前、亜稀と話した事ねぇの?」 「ない。 …アイツずっと忙しそうだし、オレ来るの遅ぇから時間も合わねーし…」
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