亜稀

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2-5 それからはオレも亜稀とよく話をする様になった。 話をする様になって解った事と言えば、亜稀は何時も雰囲気が柔らかくて、明るくて面白くて、気が利いて頭のいい奴だという事。 更にルックスがあれって… コイツ、欠点なくね? オレが亜稀と仲良くなりだした頃には、亜稀はうちの店以外のホスト達…しかもどの店でも幹部やら上位常連の奴等とも完全に仲良くなっていた。 9月の中旬が誕生日だった亜稀は、10月の上旬から「誕生日」と題して他のホスト達から引っ張りだこで仕事以外でも忙しそうだった。 本当にいい奴だもんなぁ… 仕事は勿論完璧にこなすし、礼儀正しいし… 確かに、亜稀に抜かれたなら仕方無いと思えるくらい、亜稀は何もかもが完璧だった。 10月も亜稀が指名数、売り上げ共にトップ。 11月の半ば頃になって、クソ忙しかった亜稀と、漸くゆっくり話が出来そうな時間がとれて、仕事終わりに二人で飲みに行った。 最初居酒屋で2、3時間程だべって、亜稀が「まだ帰る電車がない」と言ったので、酔ってた勢いでカラオケに。 特に曲を入れるでもなく、着いて早々煙草に火を点けた亜稀に、ずっと気になっていた事を問い掛けてみた。 「あのさ… お前って、なんか出来ねぇ事ねぇの?」 「は?出来ない事? なんで?」 「完璧過ぎじゃん? 一個くれぇ、欠点ねぇのかと…」 「あるよ。勿論。 何をやっても兄貴に勝てない」 「は…?……え?マジで?!お前が勝てない?!」 「勝てない。 頭良くて、人望あって、しっかりしてて、スポーツ出来て…」 「亜稀よりも?」
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