第ニ話…初陣に立つ

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その夜、カインはあの占い師の言葉が気になって寝付けなかった。 「外行こ…。」 同じテントで眠る仲間を蹴らないよう、起こさないように細心の注意を払いながら、テントの外へ出た。 乾いた夜風がすり抜けていく。 足元くらい余裕で照らす強い光を放つ満月。 散歩をするには、丁度良い夜だった。 月光に照らされて煌めく月光草を見つけた。 淡い桜色の花の中心に、透明な玉状の蜜を貯めてキラキラと輝かせていた。 「イーリスとルイスの好きな花…。」 一輪に手を触れると、花は熱を感じて閉じてしまった。 太陽の光を浴びて枯れる儚い花。 カインは萎えてしまった一輪を摘み取ると、強く抱き締めた。 それを、ルイスやイーリスに見立てて。 そして、カインは泥水の底を舐めることとなる。 エルネスト将軍率いる軍隊が攻め込んできたのだ。 カインは弓を引き絞り、「動く甲冑」目掛けて矢を放つ。 倒れる甲冑。 さ迷う軍馬。 現れた黒馬。 跨がる英雄。 金色に輝く髪、精悍な顔立ち、鋭い視線。 その男こそ、エルネスト将軍。 将軍は不敵な笑みを浮かべ、カイン達を纏めるリーダーではなく、カインを目指して進撃を開始した。 ―――――――――――― 次章へ続く。
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