第一話…孤児達の行き場

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翌朝、ルイス・エルネストの遺体が、森の奥で発見された。 死因は窒息死。 体に付いていた後から、何かで強く締め上げて殺害されたと考えるのが普通だが、やる気のない憲兵は適当に自殺で片付け、足早に酒場へと消えて行った。 国にとってはなんてことない事件。 孤児院の子供達にとっては、天変地異にも似た大事件。 「カイン…俺達…どうなるんだろ…?」 「解らないけど、絶対俺から離れちゃダメだ!いいな?」 「うん!」 カインとイーリスは固く手を繋ぎ合い、カインの提案により、残された子供達の引き取り手探しを始めた。 結果、誰も引き取られなかった。 …前言撤回。イーリスを含め、半数以上が国の兵士として引き取られた。 イーリスとカインは引き裂かれた。 「必ず生きて会おう!信じてるからな!」 カインの叫びは、確かにイーリスに届き、イーリスは返答として握りこぶしを高く掲げた。 カインは孤児達を連れたまま、差し押さえられた孤児院を追い出された。 帰る場所を失い、泣きわめく子供達をあやすのに精一杯で、カインの身に迫る影など気付く由もなかった。 「うわぁっ!?」 「小僧、この街に詳しいか?」 カインを捉えた男、胸に菱形。 間違いなく、数年前から戦争をやり合う敵国の国旗を模した紋章。 「は…放せ!放せよ!!」 「質問に答えろ。」 「知るかよ!孤児院から遠くまで出たことなんてねぇんだ!」 「…いい面構えだ。気に入った。おい、連れて行け。」 顎で指示を下す男。 連行されるカイン。 カインの背後には不安と恐怖に震える子供達。 カインとイーリスが引き裂かれてから、再び出会うこともなく冷酷に時は流れ 16年という長い歳月が過ぎ去ったのだった。 次章に続く。
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