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でもよくよく考えると無謀な話に思えてくる。当たり前だけど。
「今日まではどうやって寝泊まりしていたの?」
「今日が旅の一日目なんだ。朝の電車に乗って、とりあえずこの町まで来たんだ」
それはまたご苦労なことで。
「そうだ、お互い名前聞いてなかった。まずそれが先だったね」
二人ともあははと笑う。
「私の名前は時風小百合」(ときかぜさゆり
「僕の名前は深波涼太」
(みなみりょうた
よろしくお願いしますと握手。
「えへへ、よかった。本当は不安だったけど最初に優しい人に会えたよ」
そんな事言われたら照れてしまう。
ただでさえ可愛いのにもう。
ってなんか恥ずかしっ。
「そういえば深波くん、今日は日曜日だけど家族の人は大丈夫なの?」
「ああ、僕一人暮らしなんだ」
「そうなんだ、大変そうだね」
「うん、金銭面では父親が送ってくれるから問題ないんだけどね、家事が大変かな…最近はもう慣れたけど」
「僕の母親は小さい頃に亡くなってるんだ…」
「そうなんだ…」
彼女が少し寂しげな顔を見せたのですぐに話題を転換する。
「ねぇ、時風さん、好きな食べ物ある?よかったらお昼に何か作るよ、僕もまだだし」
「え、そんな。んーでもこの辺の事も食事処もわからないしお言葉に甘えちゃおうかな」
「それがいいや、テレビでも見て待っててよ」
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