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「ありがとう」
そうして僕はささっとキャベツとピーマンたっぷりの焼きそばを二人前作った。
「お待ちどうさま」
「すごい、はやいねー」
「ああそんなに立派なものでもないからさ」
「いやーでもすっごくおいしそ…うっ…」
「あれ、何かダメなものとかあった?」
「私ピーマンだめなんだ…なんか苦くて」
「じゃぁ残してもいいよ、そうだよね先に聞くべきだったよごめん」
「いや、大丈夫。ご馳走してもらって食べれませんなんてできないでしょ?」
「まぁ嫌いなら無茶はしないで」
二人で "いただきますー"
彼女は意を決したような表情で目の前の焼きそばと向き合う。
そしてとてもおいしそうに食べてくれる。
しかし何度かピーマンが紛れ込む度に目をつぶり、口を小さく"へ"の字に曲げる。
可愛い。
表情の移り変わりなんとも可愛らしく、そればかり見ていて自分は食べてない事に気付き慌てて口にかきこむ。
気付くと先に食べ終わっていた。
「よっぽどお腹空いてたんだね」
…違います。あなたに見とれていて遅れているのに気付き、恥ずかしくて一気に…なんて言えません。
「ああ、朝抜きだったし」
なんとなく笑いながらてきとうに誤魔化しておく。
そして少しして彼女も食べ終わる。
「ごちそうさまーすごくおいしかったよ!」
そう言った彼女の目はなんだか輝いているように見えた気がしたけどそこまで自惚れじゃぁない。気のせいだ。多分。
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