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その分余程強い思い入れがあるのだろうと安易に推測出来る。
白い少年が少し動くだけで彼の背にある白い翼がばさりと揺れる。
その白い翼は自身の黒さを際立たせているように黒い少年は感じた。
無垢に近い白さは鎖のように綺麗で重い。
「僕は穂だよ。あの娘がそう呼んだんだから」
あの娘、が誰を称しているかはわからないが白い少年、穂にとっての大事な者であることは明らかだった。
「だから僕は―…!」
穂が言葉を紡ごうとした瞬間、ざわっと木々が騒いだ。
茨が一層身を固め、大きくて強大な風が暗い場所を揺さぶる。
まるで『許さない』と言われているようで黒い少年はぞっと背筋に寒気が走った。
「これは…?」
黒い少年は声を出さずにはいられなかった。
強すぎる風は泉を大きく波立たせ、存在感を一際強くさせる。
風をどうにか避けたくて自然と腕を顔の前に持ってくるが、それは叶わない。
腕で顔を防御しようとする黒い少年を見向きもせず、穂は泉から顔を背けない。
刃のような鋭い風に臆することなく、穂はじっと泉を見つめる。
すっ、とはじめて穂は岩から腰を浮かして立ち上がった。
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