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傾いだ水柱は裂かれるように乱れ、ごおごおと渦巻く。
そして弾かれるようにして水柱が解け、リン、と鈴の音と共に真っ黒な少女が現れた。
黒いケープに黒のワンピースを纏い、長く美しい黒髪を乱暴に風と戯れさせ少女は宙にいた。
漆黒の中の少女は闇と同化していて、まさに暗闇そのものだった。
穂の白い翼とは違い、少女の翼は黒い。
そして特徴なのが少女の持っている黒い杖。
少女の身の丈以上に大きな黒い杖はぐるぐると黒い茨のようなものが巻きつき、それは先端の黒いガラス水晶にまで侵食している。
それを少女は大事に握っていて、杖から漏れる空気で暗闇がより深く色濃くなった。
少女が纏う凶暴な空気は黒い少年に焦燥感を持たせるには充分だった。
「神殺し…っ」
黒い少年が漏らしたその一言に反応するように少女の瞳が開いた。
かっ、と勢いよく開かれた瞳は穂と黒い少年を捉え、何も感情を映さなかった瞳に強い光を宿した。
「銘ちゃ…っ」
明らかな敵意を見せた少女にそれでも穂は接触しようと試みたが少女はそれすら眼中にない。
杖を高々と掲げて穂と黒い少年に向け鋭い風の刃をむけた。
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