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「ほら、光。外行こ?今日はハロウィンやから大丈夫やって」
――ぇ、これで出るん?やってフリフリやで!?そしてこんな格好しとる俺にしてみれば、今日がハロウィンとか全く関係あらへんし……とりあえず何で俺が辱めを受けなあかんの?
「………やっ」
「ええから行こ?大丈夫やから………信じてや」
――そんな雨に打たれた子犬のような目で縋られたら分かりましたって言うしか無いやんけ!!
「……分かりましたよ。今回だけですからね」
そう承諾すると直ぐに外に連れ出された。
――只今徒歩で移動の真っ最中なんやけど、いつ知り合いに会うか分からんから背中は冷や汗でベチャベチャになっとる気がする。
「謙也さん、どこ行くんですか?」
「楽しい所やから楽しみにしとってや」
謙也さんはそれだけ言って、また日常会話へと戻ってしまった。
それから20分位だろうか……歩き続けてたどり着いたのは、いつものデートコース。
まぁ、デートコースとは言っても外ではただの部活の先輩、後輩のように振る舞っているからデートのようでデートじゃない。
「謙也さん………まさか普通のデートをするためにこの格好をさせたんですか?」
謙也さんは少し罪悪感を感じているのか、下を向いたまま動かなくなってしまった。
「まぁ、しゃぁないっすわ。俺が女役なんは少し気にくわんですけど、謙也さんと一緒なら嫌じゃないですから……顔を上げてくださいよ。せっかくなんですから、楽しみましょ?」
俺はそう言って、謙也さんにキスをした。それから、ワンピースという事も忘れ逃げるように走り出した。
―――街の中で本当の俺の姿を知ってるのはただ一人………
たまにはこんな日も良いかも知れへんなぁ………
せっかくやからめいいっぱいいちゃついとる所、みんなに見せつけたろ。
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