Act1~一日目と月~

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 少し色素が抜けて茶色がかった髪に、くりくりとした大きい眼。 小柄な体格で、ちょうどリスを思わせる。 男というより、男の子という表現の方が正しいかもしれない。 同じ年のはずなのだが。 「よ、間宮」 「あ、おはよう。進くん、一輝くん」  礼儀正しく挨拶する『アイツ』……『間宮和人』である。 成績優秀であり、学年トップもしばしば。 そのまじめな人柄から、他人をあまり寄せ付けないが、根は優しい奴であるということを友人の進と一輝は知っている。  一輝は早速尋ねた。 「間宮はやっぱ東大?」 「え、あ、うん……まあ」  間宮は自分の席で荷物を取り出しながら恥ずかしそうに答える。 進は「お~」と歓声を上げた。 「ほかは考えてない……と?」 「うん」  一輝がニュースキャスターのように質問を続ける。 間宮は淡々とノートを開き、筆記用具を取り出す。 「いったいどんな勉強法を行っているんですか?」 「……」  答えは返ってこなかった。 間宮はすでに早くも数学の勉強に没頭していた。  一輝は邪魔するわけにはいかないなと言うように、肩をすくめて、参考書のぺージをめくった。  進も自分の勉強へと戻る。  そうしているうちに、一人、また一人と教室に入ってくる。 彼らは軽い挨拶と二言三言の会話をした後、自分の勉強を始めた。 そのため、教室は基本的に静かだった。  ところがこの後すぐ、その静かな教室が不意にざわめくこととなる。
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