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夏期講習は午前中で終わった。
一輝が進と間宮を近くのファストフード店に誘い、一緒に昼食を取ることになった。
「オマエさ、食ってるときぐらいそれ開くのやめろよ」
一輝はてりやきバーガーをほおばりながら、怪訝な目で間宮に苦言を呈する。
間宮はしぶしぶ参考書を閉じた。
進はそのいざこざにも気づかず、ボォーっと窓の外を眺めている。
「進、腹痛いなら俺が食べるからな?」
一輝がまったく手がつけられていない進のダブルチーズバーガーに手を伸ばす。
「あ、いや食うから!」
「……美緒ちゃんのことか?」
一輝がにやっと笑いながら尋ねる。
「いや……別に」
進は半分正解だよと心の中で答えた。
「進、ぶっちゃけチャンスだぞ」
「なにが?」
「女の子ってのは何かあった時に髪切るんだよ。たとえば、男にふられた時とかな……」
意味深につぶやく一輝。
進はまた視線を窓の外へと戻した。
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