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その日はやたらと空が青くて、白い雲が申し訳程度に浮かんでいるような、そんな快晴の日だったことを覚えている。
父の運転する車が、街のビルの隙間をすべるように走り抜けていく。
助手席には母、後部座席にはお気に入りのリュックを抱えた私が座っていた。
たしかリュックの中には母が早起きして作ったお弁当、氷と麦茶が入った水筒、汗を拭くためのタオルなんかが入っていた気がする。
これから高尾山に家族そろってハイキングに行くのだ。
仕事が忙しい父の、精一杯の家族サービスだった。
車が交差点で左折しかけたその時だった。
反対側から黒いワンボックスカーが信号を無視して飛び込んできた。
――その後の記憶はあまり無い。
ただ、私は一人ぼっちになった。
それだけはわかった――――。
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