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さて、そんな彼がなぜあくびをしながらこんな早朝に外出しているのか。
彼の手からリードが伸びていることに注目してもらいたい。
その真っ赤な紐の先には小柄なシェパード犬がつながれている。
普通なら凛々しい顔立ちの中型犬だが、こいつはそれよりちょっとばっかし小さい。
小さいわりにはぐいぐいと進を引っ張っていく。
名前は『シュリ』。
といっても進の犬ではない。
お隣に住む一人暮らしのおばさんが夏のこの一週間、スペインに行くということで、青空家が代わりに預かっているというわけだ。
毎日朝夕、二度の散歩と朝昼晩にドッグフード。
少しわずらわしいが、人懐っこい彼を見るとその思いもどこかへ吹き飛んでしまう。
それに、預かっているわけだから責任も持たなきゃならない。
進は初日の朝の散歩の課題をなんとかクリアした。
黒いベンツが家の前を通り過ぎていく。
進は家の軒下にシュリをつなぎ、家の中へ入った。
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