Act1~一日目と月~

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 3年2組の教室に入ると、派手な金髪が目に付いた。 その男は長身の体をかがめて机の上の参考書を眺めている。 彼以外教室に誰もいない。 「おっ、進」 進に気づいた男が明るく声をかけてくる。 「よ、一輝」  彼の名は『和田一輝(ワダイッキ)』。 明るくギャグを飛ばす彼は多少ウザがられたりもするが、クラスの人気者である。 そしてかつ、進の親友でもあった。 そんな彼とはそんな縁があってか、三年間同じクラスだ。 「進、今日はぇーな」 「まあな」  進が自分の席に荷物を置くと、一輝が早速話しかけてくる。 進は彼と話すと自然と笑みがこぼれた。 「そういえばさ、進は志望校決めた?」 「あ、いや……まだいろいろと悩んでる」  一輝の突然の問いに苦笑いをして答える。  高校三年生。それは将来を決める上で重要な位置にいる人間であろう。 進学か、就職か。いずれにせよ、過酷な競争が待っている。  『涼修学園』は県内でも屈指の実力校である。 そのため、生徒の大半は進学を希望する。 進も一輝もそんな生徒のうちの一人だった。
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