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「一輝はどうすんだよ?」
進は聞き返してみた。
一輝は日焼けした浅黒い手であごを撫でながら答える。
「そうだな……。ま、T大かな」
「Tって……まさか東大!?」
進は眼を見張った。
彼ならそれを言っても冗談にならない。
一輝はこんな金髪でチャラチャラしているように見えるが、学年で優秀な部類に入るのだ。
「あ~?そんなわけないやろ?Tって筑波って意味だよ」
「なんだよ、驚かすなよな。まあ筑波も十分スゲェーけどさ」
「わりぃ。ちょっと面白いと思ってよ」
一輝はやんちゃな笑顔を作る。
「ま、本気で東大狙ってんのは『アイツ』ぐらいじゃねぇの?」
「『アイツ』って……『アイツ』か」
進が思い当たる節を浮かべていると、ちょうどその『アイツ』が重そうなバッグを背負って教室に入ってきた。
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