20人が本棚に入れています
本棚に追加
「なぁ佳織……ここどこだ?」
俺は樋渡優。つい先日、式神になった吸血鬼だ。で、隣にいるのが……
「私に聞かないでくださよ……。優が見つけた結界を能力を使って通ったらこんな見たこともない場所に着いたんですから」
俺の主になった妖獣の巫女、日向佳織。そう。佳織が言うように、俺が結界を無視できる力を使って通り抜けたら見知らぬ森に着いたんだ。佳織は俺の裾を掴んでいたせいか、一緒に来てしまった
「しゃーないな。佳織、犬耳で人の気配とか探してくれ」
「言われなくてもさっきからやっています。……12時の方角に気配がありますね。とりあえず行ってみましょう」
「あいよー」
「というか、通り抜けた結界を戻ればいいのになんで逆方向に来たんですか」
「だって面白そうだったし? 知らない場所を探検したいという好奇心がうずくんだよ」
「はぁ……子供ですか」
「まぁまぁ、そう怒らず。あとで耳を甘噛みしてやるから機嫌直してくれ!」
「う……そ、そんなことで機嫌を直したりするわけが……」
「えー? でも、頬が緩んでいるけど?」
「っ! う、うるさいですよ、もう!」
「はははっ、楽しみにしてな! それじゃ、空を飛んで向かおうか。歩くよりは早いだろ?」
「むぅ……」
最初のコメントを投稿しよう!