第一夜

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―――某市民公園入り口前  時刻は夕方。  帰宅の最中のことである。  オレの前には赤いワンピース姿の女が堂々と、公道の真ん中に立ちはだかっていた。  長い黒髪からのぞかせる形の良い目からは、獲物を品定めするような光がオレへと放たれる。  高めの鼻とシャープな輪郭の顔立ちはどこか、気品な雰囲気を醸し、まぁ確かに女の顔は綺麗な部類に入るだろう。  ただし、でかでかと、はんぺんのようにのったマスクで全てが台無しだ。  更に言えば、マスクは耳まで覆いきれておれず、歪な裂け目が見えてしょうがない。  隠しきれてねぇ!  オレの脳内では、その下の残念な状態が容易に想像する事ができた。 「私ってキレイ?」  女は畳み掛け同じ質問をする。  オレは無意識のうちにため息をついた。  また変なのにひっかかってしまった、と。
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