第一夜

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 無視しよう。  そうだ、こんな輩には関わらないに限る。  触らぬ神に祟りなし。  オレは女の横を素知らぬ振りをして、通り抜けようと試みた。  だが女がオレの逃亡を許すわけもなく、彼女は俊敏に身を動かし再度オレの前方を妨げる。  歩を進めたこともあり、先ほどより近い距離に女の顔があった。 「私ってキレイ?」 「……………」 『無視すんじゃねぇ』  口では言わずも、目が語っていた。  面倒せぇ。 「私って…」 「ブス」 「……………」  多少苛ついていたせいもあり、乱暴な返答になってしまったが、しつこく聞いてくる相手の方も悪い。  静かになった女をよそに、スッキリしたオレは意気揚々と足を踏み出し彼女の横を通り過ぎる。
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