第一夜

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 しかし困った。  ご近所様の目というものがある以上、早急にこの事態を解決しなくてはいけない。  『コレ』の知り合いだと周囲に誤認されるのは色々と面倒だ。  ここは事態を丸く収めるべく、素直に謝罪しておこう。 「めんご」 「サイテー」  注文の多い女である。 「本っ当に心の底から深く深~く全身全霊誠心誠意心込めて大っ変誠にどうもすいませんでしたー」  そう言って便宜上律儀に頭まで下げた。 「まぁ、そこまで言うなら許してあげるわ」  何様だ。 「お姉様とお呼び。因みに、今年で21歳なの」  サバ読むな、絶対三十路はいってるだろ。 「お姉様は誰よりも寛大な心持ち主なの。だから、相手が小うるさくて哀れな醜いガキでも、許してあげちゃうのだ~」  お姉様を東急湾に沈めたい。
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