雨一色

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私はなぜか雨の降る昼の道を歩く。 髪が濡れ服も濡れているのに、私は何もせずただただ約束をした場所の駅へ向かう。 髪が長いせいか雨がやけに重い。 やがて、約束の場所に着いたときには、雨はまた一層強さを増していた。 駅からは会社員や学生、普通の通行人が行き来していて、私は今だに約束した人を見つけられずにいた。 私は探しながらも雨だけが強くなるばかりで、体は既に凍えている。 もう帰ろうかと自分に問い掛けをしていたら、 駅から探していた人間が姿を見せこちらに小走りで向かってくる。 しかし、もはや体温が落ちた体は鉛のような重さだった。 吐き気とまではいかないめまいが私を襲った。 めまいで私は駅からきた人間に倒れかかった。 たぶん安堵もあるのだろうか。 私はそのまま眠りに着いた。
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