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光の届かない海底は正直言って あまり好きになれない、 確かにあの吸い込まれそうな静寂は 心地よい物だが帰って来れなく なりそうな不安が付きまとう。 しかも潜っている時には 「それでも良いか」と思ってしまうから 余計に困る、まだ見たい海が 潜りたい海が山ほどあるのだ それらを水に海底に没したら死んでも 死にきれない。 何よりオルカ共々沈んだとなれば アグリィが黙っていないだろう。 食後のお茶を口にしながら 情けない音を立てる腹を撫でる さっきまで食欲が湧かなかった癖に 油っぽいパスタが消えた途端こうだ 今はチキンステーキに取り掛かっている アグリィを見ながらぽつりと呟く。 「……そんなに脂肪まみれの 腹になりたかったのか潮児?」 これで腹の虫がピタリと治まる…なんて 都合の良い事になるはずもなく、 必要の無いダイエットをしながら 俺は黙って緑茶を飲み干した。
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