―01―

13/15
前へ
/23ページ
次へ
別に何か予定があって 行動した訳ではない たまたま友人との会話の中に 海の話が浮かび どうせならクラスの女子を誘って キャンプに行かないかと言う 話になった。 正直言って俺には どうでもよかったのだが…、 ここまで話を聞いたんだから 最後まで付き合えとか 数は多い方がいいとの理由で あれよあれよと海行きが決まり 結局は流された。 裏を返せばクラスで唯一の 東洋人である俺が居れば 少しは女子の目を引けるとでも 考えたのだろうが 引っ張り出された俺はいい迷惑だ。 それでも海に行ってしまえば そこは遊び盛りの若者だ すぐにテンションも上がり ろくに準備運動もせず 海へ飛び込んだ。 で、溺れた それはそれはあっさりと 何の前触れも無く 気持ちよく泳いでいたら 足が吊り激痛で 声も上げられず海中に没した、 声を出せなかったのが幸いして 海水を飲まず息を 無駄にせずに済んだが 代わりに誰も俺が沈んだまま 浮かんで来ない事に気付かない。
/23ページ

最初のコメントを投稿しよう!

25人が本棚に入れています
本棚に追加