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大皿に山の様に盛られ 油分たっぷりのミートソースに まみれたパスタが 手品の如くニッチェの胃袋へと 収まっていく。 アメリカ育ちの俺も こうした欧米人の食生活には 慣れ親しんでいたが あいにく血統で言ったら ほとんど日本人である 皿に油膜が張る程の肉汁が溜まる ミートパスタを見て 旨そうと思えるほど俺の胃は強くない。 1ポンドもある特大ステーキを 一人で平らげるのを見たのに比べたら まだマシな方だが。 最近の風潮である 低コレステロールやヘルシー路線など 完全に無視したメニューに 閉口しながら自分で取り分けた 乾燥ワカメ入りの海鮮サラダ。 と、言う名前のドライフリーズされた 野菜の盛り合わせをフォークの先で 突き刺し口に運ぶ。 …どうせなら乾燥パスタとソース缶の 山の代わりにレタスのプランターと 肥料でも積んでおけばいいんだ、 食糧倉庫の半分がパスタで 埋まっているなんて正気じゃないぞ。 「どうしたチョージ、 食わないなら俺がもらうぞ?」 「勝手にしてくれ。」 応えると同時に 空になった大皿と俺の前にあった 普通サイズの皿(チキンステーキ) が取り替えられる。
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