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ならばちょっと小さめの 輸送船なのかと言えば それも違うだろう 後部のコンテナは完全に船体に 溶接されていて取り外しが効かない ではクレーンで直接 荷物をコンテナに入れるのかと 思いきや天井部分も しっかり溶接されていて 開く気配も無い。 何より船尾にはボートや モーターバイクを係留する為の 簡易港が設置されている こんな船が輸送船であるはずがない あまりにも無駄な設計だ。 マリンスポーツを楽しむ為でも 輸送の為でも無さそうな 不思議な船だが その存在意義は突如動き始めた クレーンによって明らかになる。 このクレーンも 工事現場に良くあるフックの付いた タイプやペンチに似た アーム型でもない 三本の爪が付いたUFOキャッチャー 型のアーム。 ただし弱々しくすぐに獲物を 取り落としてしまう UFOキャッチャーのアームとは違い こちらは無骨な鉄製のアームだ、 爪の一本は人の胴体ほど 獲物を取り落とすぐらいなら いっそのこと握り潰してくれようと 気合いの感じられる一品だ
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