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「ああそれか、
バッテリーが上がっていた最中に
魚か何かに当たったみたいだな。」
「当たったみたいだな、じゃない!
パイロットならそれくらい避けろ!」
青いアロハシャツを着こなしながら
短い金髪を掻き乱し
何がそんなに悔しいのか
地団駄まで踏む始末。
「さすがの俺でも
動かない機体で避けるのは無理だな。」
無茶苦茶を言われているのは
先ほどまで海中に潜っていた
潜水船のパイロット
中原 潮児
アメリカ人のアグリィとは違い
生粋の日本人
日本人にしては細身だが背の高い男で
外人の大型体型と比べても
見劣りしないのだが
今はニッチェの大袈裟な反応に
やや圧され気味である。
黒い眼に『また悪い癖が』と
半ば諦めの色を浮かべ
ニッチェが指差す衝突痕。
………ほんの数センチ程
塗装の薄くなった部分を見て
溜め息を吐く、
まったく損傷とも呼べない傷だ。
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