第一章-episode1-

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 見上げる少女には何も映るはずが無い。というか、このセカイに映る人はいない。  それ相応の思い出が無いからだ。 見上げたって、目に映るのは形式的に『星空』だけであり、そこから『あのときの星、きれいだったなぁ』などという感情が生まれてこない。少なくとも、このセカイに来てからの思い出程度なら生まれてくるが。  それを言ってしまえば、俺だって大差無い。全くもって何も生まれてこない、彼女といった花火大会の星空さえも。  彼女がいたかどうかなんて、今の俺に言わせてみれば「知るかっ!」という話である。どうでもいい。・・・こんな話ができるだけまだ酷くないのか?
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