プロローグ-prologue-

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 少女は人類のことをダウナーなんて呼んでいる。確かに、人類は宇宙から見れば虫ケラに過ぎないかもしれないが、そんなことを言っている少女も人類にしか見えない。  「なんでそんな呼び方してるんだ?人間も捨てたもんじゃないぞ」 「・・・ほざくな、何も知らないくせに」 「はぁ・・・何だってんだ」 触れちゃいけなかったか? 「既成事項は変えられないの」 既成事項?そんな物があるものか。  「自分で死を選んだ者、生前に悪事を働いた者の記憶がフォーマット・・・まぁ、まっさらな状態でこの世界の者として行動していく。それがこのセカイなの。でも、その中で、何人かを生きてる状態でそのままフォーマットだけして引き抜くの、それがあなたね。でも、知識は問題無く残るから安心して」  そう言われてもよくわからん。  「お前は何でここにいるんだ?」  「あたしは・・・自殺ね、きっと」 なんでこんなにかわいい彼女が死を選んだのだろうか。こんななら彼氏もできて、楽しい暮らしができてそうだが。 「まぁ、あくまでフォーマットされた状態でこのセカイに来るから、実際の所はよくわからないんだけどね」  俺と同じように、彼女にも何故ここにいるのかよくわからないらしい。
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