猫と男と少女

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ニャァァァッ にゃぁっ 話しているように見える。 そして、猫が男性を肉球でポスポス叩き、説教しているようにも見えた。 「ふふっ」 少女は和み、つい声に出して笑ってしまう。 その声に気づいたのか、猫と男性が少女に振り向いた。 男性は、30才前後のように見える。鼻筋は通り、目は涼やかで、唇はふっくらしている。 世間一般的に言うと、イケメンの類で綺麗な黒髪だが、グシャグシャに乱れており、前髪をゴムで結びあげている。服は何故か、下駄に藍色の着流し。 ………変態だろうか、と思い少女は一歩後ずさる。 男性は猫の手を持ち、招き猫のようにコイコイとした。 その動作がかわいく、少女はゆっくり近づき、男性のそばに座った。 「こんにちは。」 と少女が挨拶をすると猫が、 ニャァァァ と応えた。 男性はジッと少女を見つめ、顔にゆっくりと手を伸ばし、 「顔色が悪いね。何か悩み事?」 ヒヤリとした感じがして、少女は、恥ずかしさと戸惑いでビクリと体を震わした。 「あっ…大丈夫ですっ。」 少女は彼の手から逃れるようにソッと離れた。 「……この子は風花。」 男性は猫を愛おしそうにソッと撫でながら話した。 「さっき知り合って、意気投合したんだ。名前が欲しいと言ったからつけた。」 あれ!? この人まさか電波系か!? と思い、少しヒイたが、猫が幸せそうなので、まぁいっかと思い、 「名前をつけたってことは飼うんですね。優しいですね。」 と言い、少女が猫の顎を撫でると、猫はゴロゴロ喉を鳴らした。 男性は、 「別に風花と名前をつけただけであって、この子が俺の元に来るかは決まってないよ。野良のが自由だしね。だから、風で自由に舞い散る花で、風花と名付けたんだ。」 と無表情に言った。 少女は何故かムッとして、 「なら名前をつけなければいいじゃないですか。この子が決めるとか適当な事を言って!!」 と語気を強めて話した。 「………風花を心配してくれたんだね。大丈夫だよ。」 男性はソッと少女の頭を撫で、猫は膝をペロペロと舐めた。 頬を温かな液体がつたった。 手で触れると涙だと気づいた。 「………わ、私どうして!?」 男性は、戸惑いながら涙を流す少女に、優しく微笑み、頭を撫でた。
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