猫と男と少女

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彼と風花について歩き始めて、30分ほど経った。 「………あのっ。」 少女は、おずおずと声をかけた。 「メロンパンを6個。なに?」 移動販売のパン屋さんに注文しながら彼は右手に風花、左手に紙袋を3袋どっさりと持ちながら答えた。 ここに来るまでに、和菓子屋で煎餅を、ケーキ屋でホールのフルーツたっぷりのタルトケーキ、コンビニでアイスクリームを買っている。 胃もたれするほどの甘い匂いが彼から立ち込める。 「糖尿病になりますよ。」 と少女が言うと、彼はメロンパンを受け取りながら、 「あ~、よく言われる。でも糖分と俺はハニー&ダーリンな関係なのだょ。そろそろ行こっか。」 と淡々と言い、歩きだした。 少女は瞼をパチクリしながら聞き、そして、相撲の人のようになった彼を想像しながら追いかけた。
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