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婦人のいた部屋は、洋館の中には思えない程、畳の井草がかぐわしく匂う和室だった。
部屋の中央には机と座布団が置かれ、上座には見るからに高そうな水墨画や壺といった美術品が置かれている。
和室の前の庭園は大きな松の木があり、椿や百合や鈴蘭など、落ち着きのある造りだ。
部屋の隅には庭の花で生けられたと伺いしれる生け花が置かれてある。
「いらっしゃぃ!!さぁこちらに座ってちょうだい。」
着物姿の婦人は隆治に甘い声で呼びかける。
高木は婦人に甘い笑顔を贈り、3人は婦人の前に座った。
従者はいつの間にか茶菓子と緑茶を持ち現れた。
一樹は待ってましたと言うように、出されるとすぐにいそいそと口に運んだ。
「さぁ、雪乃丞ちゃんに会わせてちょうだい。」
婦人は笑顔で一樹とアリスに問いかけた。
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