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「あぁ、どぅぞ。」
一樹は思い出したように、机の上にケージを置いた。
婦人は、
「雪乃丞ちゃ~ん。」
と、笑顔でケージにかけられた布を取り絶句する。
そして、キッと一樹を睨みつけた。
アリスはケージの中から、雪乃丞ちゃんを取り出し、優しく撫でる。
いや、雪乃丞ちゃんとそっくりの犬のぬいぐるみを……
隆治は黙って、事の様子を見守る。
「あなたっっ………私がどれだけ雪乃丞ちゃんに会いたいと思っているか分かってるの!?」
と、噛みつくように怒鳴り、目に涙を浮かべ、俯き、ハンカチを目に当て、泣き始める。
すると、
「嘘つきだね………」
一樹はお茶をすすりながら、婦人に言い捨てた。
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