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授業が終わり昼休みになった。3人は屋上で亜弥の来るのを待っていた。
「うわぁ~和美の美味しそう。自分で作ったの?」
「うん。そうだよ。朝早くから頑張ったんだから。」
「一個ちょうだい?」
箸をパチパチしながら恭子が言った。
「私もーっ。」
理恵も箸を持った手を上げた。
「どうぞ。」
和美はニコニコしながらお弁当を前に差し出した。
『美味しい。』
2人同時にそう言った。その時、亜弥がやって来た。
「3人で楽しそうね。」
「あっ亜弥、和美の料理美味しいよ。亜弥も一個貰ったら?」
「あなた達本当に呑気ね。」
亜弥がすまして言った。一瞬で3人の顔から笑顔が消えた。
「いきなり来てそれは無いでしょう。」
恭子が喰ってかかった。
「別に私は構わないのよ。あなた達が困るだけだからね。」
全くもって意地悪な言い方だった。しかし、亜弥が言う通り困っているのは彼女達だった。
「そんな意地悪言わないでよ。あの話の続きを教えてよ。何で私達が死ぬの?」
亜弥は少し考えて言った。
「分かったわ。教えてあげる。その代わりこれ以上この話を広げないでね。約束してね。」
その一言で恭子達はとんでもない事になっているのを実感した。
「良く聞いてね。」
そう言って亜弥は話し始めた。
「悪魔のサンタの事は聞いて知っているよね。」
3人は頷いた。屋上に冬の風が吹いた。この話の恐さが伝わって来たようだった。
「この殺人鬼は結局、捕まらなかったの。それからしばらくは何事も無く年月が過ぎて行って、殺人鬼は死んだと思われていたの。そして民衆の記憶から消えて行って忘れ去られた頃だったわ。クリスマスが近づいたある晩、それが起きたの。」
3人は息を飲んで亜弥の話を聞いた。
「18才の女性の死体が街角で発見されたの。死体の横には"メリークリスマス"と書かれたクリスマスカードが置かれていたらしいわ。そして一週間の間に3人の二十歳前後の女性が同じように殺されていたの。」
「亜弥、でもその事件と私達と何の関係があるの?」
和美がそんな事を尋ねた。言われてみればその通りで、そんな事件があったのかなって思うだけだ。ところが亜弥は頭を振った。
「それが大有りなの。殺された女性はみんな友達だったの。そして彼女達は"悪魔のサンタ"の話をしていたらしいの。サンタの格好をした殺人鬼の話をね。」
3人は驚いて言葉が出なかった。
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