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「今日はどうする?」
恭子が鞄を揺らしながら2人の前を後ろ向きに歩いている。
「あっ昨日、駅の近くに80円均一の店が出来たって行ってみない?」
和美が興奮気味に言った。
「ごめん。私さ今日早く帰らないといけないんだ。母さんが出掛けるから早く帰って来てって言われてさ…。」
「理恵の所は下に兄弟がいるもんね。面倒みないといけないのか。」
和美が残念そうに言う。
「そうなの。ごめん。」
理恵は手を合わせて謝っている。
「気にしなくていいわよ。恭子と2人で行ってみるから。明日教えるね。」
そうして3人は別れた。しかし、理恵は家に帰らなかった。向かったのは裁縫店だった。やはり、亜弥に聞いた事が気になっていて、早く作りたかったのだ。裁縫店に寄ると真っ赤な布を買った。家に帰ると早速サンタを作り出した。
「理恵ご飯よ。」
部屋の外から声がした。理恵は集中していたのか、気づかないでサンタを縫っていた。ガチャリと音がして扉が開いた。
「理恵寝ているの?」
「うわっ?!痛いっ!」
理恵は驚いて針で指を指してしまった。作っていたサンタに血が染みた。
「いきなりびっくりするじゃない。ノックぐらいしてよね。」
理恵は刺した指を口にくわえて舐めた。
「何を言っているのよ。何度も呼んだのに理恵が返事しないからよ。早く来なさいよ。」
そう言って部屋を出て行った。理恵はすぐには降りず最後の一個を縫いそして終わった。
「これでみんなの分出来た。あ~お腹空いた。」
理恵は立ち上がり食事を食べに降りた。そして静かな夜が過ぎて行った。本当に静かすぎるほどだった。しかし、次の日それは起こった。
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