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不思議に思いながらも近付く
好奇心故に中を覗いてみる
中は真っ暗だった
一歩、足を踏み入れてみる
刹那
背後から足音が聞こえてくる
―まずい!
勝手に入ってることがばれたらまずい
そう考えた夕はそこから出ようとした
しかし足音はもう近くまで来ている
仕方ない
夕は闇の中を忍び足で進んだ
しかし背後の足音は鳴り止むことを知らぬまま、夕の後を進む
夕は観念して相手の元へ行き、勝手に入ってしまったことを謝ろうかと考えた
考えた
だが不安が過った
何故ならば相手の足音が聞こえる度、カチャ…カチャ…という音が聞こえたのだ
まるで何か武器でも携帯しているかの様な…
自分の思い違いであってほしい
そう願った
だがその思いも虚しく散った
自分の存在に気付いた相手が武器に手をかけたのだ
―刀!?
暗闇に見えた白銀の輝き
そして同時に聞こえたシャランと言う音
それらが確実に相手が持ってるのは刀だと認識させた
何故、この時代に刀を持っているのか
そんな疑問を思うよりも逃げなきゃという思いが強かった
でも夕は動かなかった
いや
動けなかった
体が恐怖に支配され足がすくみ震えが止まらない
「お前は誰だ」
誰かいるのか?ではなく誰だと聞かれた
間違いない
相手は自分の存在に気付いている
―まずい…!
殺される!
そう思った
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