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「……どこだここ?」
目を開けてまず見えたのは真っ白い何かだった。そのまま視線を巡らせると蛍光灯が視界に入って、ようやく自分が仰向けに倒れて天井を見ているのだと気が付いた。
よっこらせ、と反動を付けて起き上がると、背中を預けていた部分がギシギシと音を上げた。音の元を確かめようと首を傾げて後ろを見ると、染み一つ見当たらないシーツが敷いてあった。シーツが敷いてあるって事はベッドなんだろうか?
「あれ…………?」
俺普段からベッドで寝てるんだっけ?
それを思い出そうとして──
「っ……!」
後頭部から鈍い痛みが襲い掛かってきた。その痛みに思わず顔をしかめ、後頭部を右手で押さえた。
すると、右手に何やら変な感触が。その部分だけ髪が生えていなくて、何か縫い付けられた感じだ。
頭痛が引くのを待ってから、部屋の中を見渡した。生活感の全く感じられない部屋。それがパッと見て最初に抱いた印象だ。と言うか、この感じは──
「…………病院の個室って感じだよな」
「ご名答。しかし、そうか。またしてもその言葉を君は言ってしまったか」
俺が呟いた独り言は、しかし独り言とはならずに、部屋の扉を開けて入ってきた白衣の男に返事を寄越された。
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