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いい天気だった。
流れゆく川の水音は穏やかで、柔らかな草が地面を覆い、木は枝を広げて木陰を作っている。
一人の少年が、満足そうにうなずいた。
草むらに寝ころび、目を細めて空を見上げる。
着ている衣服は上等なものなのに、汚れるのを気にした様子もない。
少年は頭の後ろで腕を組み、目を閉じた。
「ハザードぉぉ、ハザードぉぉぉ!!」
突然、奇妙のしゃがれた声が空に響き渡る。
びりびりと空気がうねる程の大音量だった。
少年が、むくりと起きあがる。
「ハザードぉぉ、大変、大変、大変ダぁー。」
一直線にこちらへと急降下してくる大きな物体に、ハザードと呼ばれた少年は何かを投げつけた。
「うるさい。」
不機嫌そうに眉根をよせ、いらだちをあらわにする。何かを確認する間もなく、それはきれいに物体に突き刺さった。
「ゥギャアアアァァ!」
絶叫が響く。
「うるさいって、言ってるだろ。」
呟くとともに、もう一本投げる。
「ゥギャアアアァァ!」
さらにもう一本、鋭利なナイフをとりだした少年に、物体は猛然と抗議した。
妙に体の大きい、不格好な怪鳥だった。
「ハザードォぉ!痛ェダろうが、コンチクショーメェ!!ナイフが突き刺さったら、誰ダッテ痛ぇんダヨ!少しは考えヤガレー!!」
ブスッ!!
きれいに、怪鳥の翼にもう一本のナイフがささる。
「ヴッギャアァァァァ!!」
最大音のすばらしい絶叫を発し、怪鳥はばったりと倒れた。
ふっと、少年は息を吐く。
「静かになった。」
おもむろに怪鳥をつかむと、その細腕からは考えられないような怪力で、大きな怪鳥を
日がじりじりと照りつける岩場へ放り投げた。
それから、ぐぅっと伸びをして、草むらに横になる。
穏やかな表情で、昼寝を始めたのだった。
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