~桜の散るその時まで~沖田総司

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『おーい、平助ー!!酒持って来いよー!!』 『ちょっと左之さん!!あんた言い出しっぺのくせに、オレにばっか働かせるのってどーなの?!』 『おーい、平助ー!!コッチも足りねーぞー!!』 『だーかーらー!!なんでオレばっかり…って、新八っつぁん!!アンタは呑みすぎだろ!!』 賑やかな声が段々と聞こえ始めた。 『うるさいなぁ。病人がいるってゆうのに…』 僕が溜息をついて前髪をかきあげると、彼女はクスクスと笑っていた。 『…何?何がおかしいの?』 僕がジロリと見ると彼女は慌てて言った。 『いえ…あの。沖田さんが嬉しそうにしてるから…つい…。』 嬉しそうにしてる…? 彼女の言葉に僕は一瞬目を見開いた。 『…平助。オレにも酒を。』 『はーじーめー君!!絶対今わざとに便乗したでしょ?!』 『いいから、さっさと動け平助!!一番若いお前が動かないでどうする?』 『うわっ土方さん!!…わぁかったよ!!やればいんだろー!!』 聞こえてくる声で皆が集まってきているのが分かった。 『何やってんだろうね、新選組ともあろう人達が…』 僕は桜の花びらを摘んだ。 『行ってきなよ。』 『え?』 『皆のとこ。』 僕は彼女に皆のところへ戻るように言った。 『いいよ、僕のことは気にしなくて。皆に風邪をうつすと悪いしね…』 そう言った時、 『おーい!!総司ー!!起きてんだろー?』 平助くんが僕を呼んだ。 『ばっ…平助!!総司は具合が…』 『ちょっとくらいいいだろー?なぁ、土方さん!!』 左之さんの声を遮って、平助くんが土方さんに話を振った。 無駄なのに… 土方さんの過保護は異常だ。 僕がその場にいくことを許すわけがない。 それなのに… 『総司!!…酒、無くなるぞ?』 ………。 『はっ…あははははは!!』 僕は声を出して笑ってしまった。 何言ってるんだろうね、この人は。 あれだけ人のことを病人扱いしておいて。 それなのに、酒が無くなるだなんてさ。 僕が笑っていると、彼女が手を握ってきた。 『行きましょう?』 そう言って優しく笑いかけてくれていた。 そっか…皆分かってるんだ。 僕がどうしたいのか、僕がどう思っているのか。 変わってしまった僕のことも、皆分かってるんだ。 『厄介な人達だよね…』 彼女の手を借りて、布団から立ち上がった。
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