第1章…海沿いの町から。

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翌日、昨日の事を聞いた広山が本田の部屋を訪ねてきた。 ゴンゴン…無骨なノックのしかた、本田はそれが広山だとすぐにわかった。 「よぉ‼」 「おう…。」 本田は力なくベットに寝そべったまま手をあげた。 広山は入社していままでずっと職場が同じで苦楽をともにした仲間だ。体型も本田同様にかっぷくがよかったが、本田とは正反対で非常に楽観的で明るい性格である。しかし本田とどこか馬があい、なにかとつるんでいた。 「大変ぢゃったのう(笑)」 「笑いながら言うことかよ💦」 「明日も休みぢゃろうが‼薩摩屋でもいこうや‼」 「おう、いくか」 本田はむっくりと起きだし広山とでかけた。玄関のところで先輩達がパチンコから帰ってきたところであった。紙袋いっぱいの菓子を見るかぎり今日は勝ったんだと容易に見てとれた。 「お疲れ様ッス、今日はえらい羽振りよしですか?」 「おう🎵今日は絶好調だったわ」 先輩はニヤリと笑って棒つきキャンディーをポイッとなげた。 「ごちそうッス」 「おう、本田、昨日は大変ぢゃったらしいな‼まぁそのうちええ事もあるわ‼お前ら薩摩屋行くんか?」 「はい、これから広山の払いでしっかり飲んできますわ(笑)」 「おいおい💦給料日前だぜ💦(困)」 「俺も後でいくわ」 「ウッス🎵ごちそうッス🎵」 本田は広山と顔を見合わせニヤリとし、寮から出かけた。 ふと時計を見るともう17時を回っていた。薩摩屋は17時を回ると近くの工場のオッチャン達でこみあう、本田たちは少し早足で薩摩屋に向った。 ガチャ…「おばちゃんちわ~🎵」 「あら、お兄ちゃん久しぶり」 広さ8畳くらいの狭い店だが、もう何人か至福の一杯をやっていた。 左奥のテーブル席に腰掛けて「おばちゃん、生中2つにギョウザ、手羽先、あっあと野菜炒めちょうだい✨あとで先輩もくるけんね」 「は~いおでんは?」 「あ~、じゃあ適当にお願い」 「はいよ」 おしゃれなカクテルなど無縁な店だが、ししゃもや変わり種で豚足や豚耳などオッチャンの晩酌には充分すぎる店で本田もちょくちょく足を運んでいた。
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