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「俺は、ここの主、浮舟。収集好きでさ、こういった品を買い取ったり、時に売ったりするんだよ。ま、趣味が商売になったワケだな」
「へぇー、変わった趣味だな」
古谷は、すっかり興味を惹かれたのか、品物を手に取ったりしながら眺めていた。
ふと、古谷が壁にある1つの鏡に目がいった。
少し大きいサイズだが、美しい細工が施され、装飾の一部にルビーが嵌め込まれている。
ただの鏡に見えるが、古谷は何故か惹き付けられる様に見入った。
「おっ!お前……見る目あるな。それは俺も気に入っている品でな、面白い話付きの品なんだ」
「どんな話なんだ?」
古谷は、浮舟に尋ねた。
浮舟はイキイキとした笑みを浮かべると、ソファーから立ち上がり、古谷の近くに歩み寄る。
「遥か昔、美に執着している美しい姫が居てな。美しいが大変、嫉妬深い姫だったから、恋人に近づく女を次々と惨殺していったのさ」
「うわー、いつの時代の女も嫉妬深いのは同じかよ。怖いな、女って」
「ハハハ、全くだ」
手を振りながら浮舟は、古谷に同意した。
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