第二話 ~生徒会と依頼と密林と~

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 私立パーディス高校。それが俺の通ってる高校の名前だった。  エンディミオンでは街の南区に学校が集合してて、ウチの学校もご多分に洩れず南区の中央辺りに位置してる。  数年前に出来た新設校だけあって、校舎はとても綺麗だ。施設は本館、体育館、特別館となっていて、各ホームルームクラスと食堂、教員室は本館にある。  「……で、グル・グーカスはエンディミオンとイスタルを繋ぐ密林に多く生息してる」  「うんうん」  今は朝の1-Aクラス。俺は昨日、ミューゼに約束した通り、朝っぱらからグル・グーカスの生態について話してた。  「で、これは余り教科書にも書いてないが、この熊はエンディミオンとイスタルの商人にとって、最も厄介な魔物だ」  「え? 一番厄介なのはアルダン・マーバって前聞いたんだけど」  ミューゼは、メモを取ってる手を止めて聞いてきたが、俺は首を横に振った。  「アルダン・マーバは、実は商人を襲ったりしない。それは人の、龍に対する偏見が生み出した勝手な妄想だ」  アルダン・マーバ。この大陸で広い場所に生息してる『龍』の一種類の名前だ。  全身は鱗というよりも、皮に近い触感を持つ物に覆われている。性格は極めて温厚で、普段は洞窟等でのんびりとしてるらしい。同じ龍族の中でも一線を画する存在だ。  が、先程の発言にもあった通り、『龍族だから』という理由で偏見を持たれてる。これは今でも問題になってるが、まだ解決の出口は見えてない。  「理由としては、アルダン・マーバよりグル・グーカスの方が繁殖力が高く、攻撃系の魔術の使用が上手い。人間でいう四番位の上級魔術なら使える」  現に昨日、その特性のせいで俺は危うくこの星の一部になる所だったし……いや、これは黙っておこう。
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