~成長、そして旅立ち~

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家に入るとおばあさんが朝食の用意を済ませ、囲炉裏の側に座っていた。 そして、おじいさんも桃太郎も囲炉裏の側に座り、三人で仲良く会話しながら、朝食をとった。 朝食を食べ終わると、おじいさんがスッと立ち上がり 「桃や。ちょっと待ってなさい。」 と言い、隣の小屋へ向かった。 「よいしょ。私も。桃太郎はゆっくりしてなさい。」 とおばあさんも立ち上がり台所へと向かった。 しばらくすると、おじいさんが帰ってきた。手には、刀と籠手と脛当てを手にしていた。 「おじいさん。その刀と防具は?」 と桃太郎はおじいさんに問うと、 「うむ。お前の刀と籠手と脛当てじゃ。やっと今朝出来ての。」 おじいさんは武人でもあり、昔は武器職人としても名を馳せていたのだ。 刀と籠手と脛当てを桃太郎に渡しながら、答えた。 「この刀は、お前がこの家に来たときに、お前が抱いていた金属の延べ棒から作ったのじゃ。そうじゃな、名前は『聖桃丸』とでも名付けようかの。」 「『聖桃丸』…。」 桃太郎は渡してもらった刀を抜いた。 刀の側面部分に梵字が彫っており、刀身は淡く七色に輝きを放っていた。 「この金属は不思議でな。生半可な打ち付け方では、鍛えれなくての。少々特殊な技法を使って鍛えたのじゃ。切れ味も良く、強度も抜群じゃ。」 刀身を眺めている桃太郎にそう説明した。 「おじいさん。ありがとうございます。」 そう言うと桃太郎は刀を鞘に納めた。おじいさんは満足そうに頷くと、籠手と脛当てを着けるように桃太郎に促した。 「その防具は、お前の生まれた桃の種の部分を削り出して、重ね合わせて作った籠手と脛当てじゃ。刀への防御にも、空手を使う際にも拳への負担を減らせるのじゃ。」 と説明したところで、おばあさんも台所から戻ってきた。 「桃太郎。はい。これを持っていきなさい。」 と袋を渡した。 桃太郎が袋を空けると中には吉備団子が入っていた。「おばあさん。ありがとうございます。」 桃太郎は袋を閉じて、おばあさんにお礼を述べた。 「いいんですよ。この吉備団子には桃の実を入れてます。保存も効くからかなり持ちますよ。」 とおばあさんはニッコリ笑った。
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