~成長、そして旅立ち~

2/7

3人が本棚に入れています
本棚に追加
/25ページ
それから、月日は流れ…、 桃太郎は、おじいさんとおばあさんに見守られ、鍛えられ、スクスクと逞しく育ちました。 桃太郎は18歳にもなると身長も180程の立派な体格となっていました。 ある日の朝、桃太郎は、家の庭先で巻き藁を正拳で突いていた。 「…998、…999、…1000!」 千回、正拳突きを巻き藁に突いた所で、巻き藁から離れ、汗を拭きに木へ向かった。 木にかけた手拭いで汗を拭いていると、おじいさんが家から歩いてきた。 「ホッホッホ。頑張っておるな、桃や。」 「あっ、おじいさん。」 「だいぶ、正拳も形になってきたのぅ。」 「おじいさん。ありがとうございます。」 とおじいさんに桃太郎は頭を下げた。 おじいさんは目を細め、 「まだまだ礼を言うには早いぞ。どれ。一つ、桃太郎に技を見せてやろう。」 と言い、近くにある木に近より、木の前に立ち、右拳を腰に構え、 「フッ」 と短く息を吐くと、右正拳を幹に軽く当て、拳を引くと、 ボコッ!! と打たれた幹の反対側が拳大程の大きさに凹んだ。 それを見ていた桃太郎は、驚き、 「おじいさん、今のは!?」 と聞くと、 「ホッホッホ。"裏当て"と呼ばれる技じゃよ。この技は、体内の気の十分な鍛練を必要とする高度な技じゃ。まだまだ鍛練することじゃな。」 とやさしい笑顔を桃太郎に向けた。 桃太郎も決意を表した強い目で、 「はい!精進します。」 と笑顔になった。 「ホッホッホ。…………ところで、キサマラ、さっきからそこで何しとる。さっさと出てこんか!」 と笑顔を作っていたおじいさんは突如、険しい表情となり、後ろの茂みに鋭い視線を向けた。 すると、四人の人影が立ち上がった。 桃太郎は身構えて、人影を見た。
/25ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加