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それから、月日は流れ…、
桃太郎は、おじいさんとおばあさんに見守られ、鍛えられ、スクスクと逞しく育ちました。
桃太郎は18歳にもなると身長も180程の立派な体格となっていました。
ある日の朝、桃太郎は、家の庭先で巻き藁を正拳で突いていた。
「…998、…999、…1000!」
千回、正拳突きを巻き藁に突いた所で、巻き藁から離れ、汗を拭きに木へ向かった。
木にかけた手拭いで汗を拭いていると、おじいさんが家から歩いてきた。
「ホッホッホ。頑張っておるな、桃や。」
「あっ、おじいさん。」
「だいぶ、正拳も形になってきたのぅ。」
「おじいさん。ありがとうございます。」
とおじいさんに桃太郎は頭を下げた。
おじいさんは目を細め、
「まだまだ礼を言うには早いぞ。どれ。一つ、桃太郎に技を見せてやろう。」
と言い、近くにある木に近より、木の前に立ち、右拳を腰に構え、
「フッ」
と短く息を吐くと、右正拳を幹に軽く当て、拳を引くと、
ボコッ!!
と打たれた幹の反対側が拳大程の大きさに凹んだ。
それを見ていた桃太郎は、驚き、
「おじいさん、今のは!?」
と聞くと、
「ホッホッホ。"裏当て"と呼ばれる技じゃよ。この技は、体内の気の十分な鍛練を必要とする高度な技じゃ。まだまだ鍛練することじゃな。」
とやさしい笑顔を桃太郎に向けた。
桃太郎も決意を表した強い目で、
「はい!精進します。」
と笑顔になった。
「ホッホッホ。…………ところで、キサマラ、さっきからそこで何しとる。さっさと出てこんか!」
と笑顔を作っていたおじいさんは突如、険しい表情となり、後ろの茂みに鋭い視線を向けた。
すると、四人の人影が立ち上がった。
桃太郎は身構えて、人影を見た。
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