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「さて、こいつらをどうしようかの…。」
と、倒れている鬼達に目をやると、鬼達の姿に異変が出ていた。
鬼達の体が各々震えだし、頭についていた角が地面に転がり、口から黒いモヤが出てきたかと思うと、空中で四散していった。
すると、普通の人間の姿に変わっていった。
「なんと!?人じゃったのか!?桃太郎!早く家へ連れていき、介抱するのじゃ。」
とおじいさんは、驚きながらも、足元で倒れている元鬼の人間を担いだ。
「はい!」
桃太郎も近くに倒れている三人を担いで家へと運んでいった。
家へ近付くと、家の入り口の横に人が山積みになっていた。
その横でおばあさんが刀を納めていた。
「な…!ばあさん!?殺したの…か!?」
そのおばあさんの姿をみたおじいさんが恐る恐る聞いてみた。
「あら?おじいさん。いいぇイヤですよぅ、殺しちゃいません。峰打ちですよ。」
とおばあさんは笑顔でおじいさんの問いに答えた。
「そ、そうじゃったか…。」
と冷や汗をかきながら、おじいさんはホッと胸を撫で下ろした。
おそらく、おじいさんの倍の鬼が家へ襲い掛かったのだろう。
おばあさんがいるとも知らずに…。
山積みになった人の口から先程と同じように、黒いモヤが出ていた。
「ともかくじゃ。この人等を介抱しよう。」
とおじいさんは、家へ入っていた。
「桃太郎。この人達も中へお連れなさい。」
「は、はい!」
とニッコリ笑顔でおばあさんは家へ入っていった。
桃太郎はおばあさんの笑顔に背筋が凍っていくような気がした…。
家へ運び込んだ人々を介抱していくと、数人が徐々に意識を取り戻し始めた。
おじいさんは最後に戦った男が意識を取り戻したので話を聞いていた。
「ふむ…。するとじゃ、おぬしらのいる村に鬼がやって来て、略奪を始めた。そこでおぬしらが挑んだが…やられて、それからの記憶はないのじゃな?」
「はい…。他の村などもやられていったとも聞いています。」
男は項垂れて、悔しそうに語った。聞くと、他の村などがやられた為、その村長から、用心棒として男は村に来ていたと言う。
「そうじゃったか…。まぁよい。今は傷を癒しておれ。」
そう、おじいさんが優しく言うと、男は土下座をして涙を流し、おじいさんに礼を言っていた。
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